日本人男性は家事や育児をしないんじゃなくて、社会のせいでできないんだと思う件

この歳になると、日本で育児をしている友人の本音がよく聞こえてくるようになるし、ツイッターでは育児や社会に物申したつぶやきのリツイートを毎日見かけます。

「旦那の帰りが毎日夜中になる」

「ワンオペが辛い」

「子育ては妻だけの仕事じゃない」

「夫に子供を預けるって言葉の使い方がおかしい」

こんな風に。

私もすごくそう思います。旦那に子供を預けるって表現は本当に間違っているし、子育てとなると女性が中心となって、ほとんどの時間を母親だけで子育てしなきゃいけない家庭なんて、かなり大変です。

 

正直まだ子供を産んでない私には、彼女たちの苦労を想像できても、どれだけの負担と苦しさがあるのかなど、実際に体験しないとわからないことがまだまだとあります。

しかし、様々な人がつぶやくそんな本音から、子育て未経験の私でも、フィンランドに住んだからこそわかったこと、気づけることがあります。それは、

社会が変わらなきゃ、夫(男性)は変われないということ

日本の社会が、世間が、企業が、世間のお父さんの1日を「仕事」という時間で奪ってしまい、「家族」と過ごす時間を削っているから、男性は育児や家事、妻と家のことに気を配ったり、手をかける時間がないことも、まず1つの原因だと思っています。

先日店長が書いたブログでは、日本の育児休暇率の話が上がりましたね。

2010年当時、日本の男性の育児休暇取得率は1.23%イクメンプロジェクトの目標は、男性の育児休暇取得率を2017年度には10%、2020年度には13%に引き上げることだったそうです。

さて結果はというと、2016年度にようやく3%を超えたところだそうです。ちなみに女性の育児休暇取得率は2010年で9割、2016年は8割ちょっとだそうです。

詳しくは、「スウェーデンパパのリアルなイクメン事情をレポート!」でもっと見て欲しいのですが、私が何を言いたいかというと、やはり育児休暇もですが日常的に

残業だらけで、家に帰宅するのが毎日遅いお父さん

サービス残業で無理やり会社に残されるお父さん

朝早くから、終電まで毎日頑張っているお父さん

そんなお父さんが日本の社会に数え切れないほどいることも、子育て不参加の原因の1つでもあるのに、「子育てや家事をしない日本人男性」と言われ、なぜか個人の問題にされているのはちょっとおかしな光景だと思うのです。

「社会のせいで子育てや家事をできない男性」に該当する人も結構多いはずなのに…

もちろん、世の中には仕事や会社を言い訳に「子育て」「家事」から完全に逃げている男性がいることも現状です。しかし今回は、社会が保護者である父親、そして母親たちから時間を奪っていることも、問題の1つだということをお話ししたいと思います。

男性の育児参加は、個人の力ではどうにもできないのでは??

テレビやニュースで「男性よ、育児に参加しろ!イクメンになれ!」という声が上がるわりには、根本的に変えていかないといけない問題に目をつぶり、さらに「まあ、日本はそういう国だから」と結局なだめ合って、問題の根源をうやむやにしているのではないでしょうか。

男性へ育児休暇を与える企業も少なく、残業で夜遅くに帰ることが多い世間のお父さんが非常に多く、時間の余裕がもてない中、全て個人にしわ寄せがいくって、何故でしょうか。

個人の力ではどうにもできないことなのに

お父さんが無理して頑張れば解決なの?

先日、ツイッターでこんなトピックも見かけました。

子供と遊びたいけれど、帰りが遅く子供が寝ているので、子供と関われる時間がない

というパパの悩みです。

そんな子育ての悩みに対して、朝にその時間を作って絵本を読んであげたり、散歩をしてみてはどうですか?というアドバイスが上がっていて私は正直これにも驚きました。時間のない忙しいお父さんにふさわしいコメントだとは思いますが…

あおい
え?!朝でしょ?!寝かせろよ!!!

と正直、心の声がポロリ。

これは、もちろん母親にとっても同じこと。仕事で忙しい、家事で忙しい、そんなお父さん、お母さんには朝はできる限り、寝れる時間まで寝て欲しいです。

ですから、「いつもより早起きして頑張って子供と触れ合ったらいいじゃない!」というのは、一時的な解決策になっていても、結局それだけでは、子育てをしたい保護者としての欲はうまらないのではないでしょうか。

朝に時間を割いて頑張れば、子育てだってできるよ!!
毎日帰りが夜で遅くても、もっと頑張ったら子供と遊べる時間をもてるよ!

という意見には、どうしてもしっくりきません。

 

もちろん夜勤や職種、勤務体制によっては、子供と遊べる時間に家にいられない仕事がたくさんあるけれど、例えば一般的な会社で残業なしに8時間労働、朝の8時から17時までの勤務で家に帰れたら、子供は寝てませんよね?

結局、またこういう悩みも、社会が変わらないと個人は変われないというところに行き着きますし、働いているお父さん、お母さんが無理して頑張って時間を作らなきゃ子育てが難しい社会なんておかしいと思う。

「朝は寝るもんだ!子供と平日だって遊びたい!夜は早く帰らせろ!」

と大きな声で社会や、会社に叫んでもいいはず。

もちろん本人の仕事も勤務体制もわからないから、どんなアドバイスが合っているかは個人差があるけれど、とにかく子育てに関わる保護者本人にしわ寄せが行かない世の中になって欲しい。

 

ここで、一つ見て欲しいスローガンもあります。

「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」

wikipedia: 八時間労働制から引用

このスローガンは1817年にロバート・オーウェンさんが一日10時間労働を訴えた、スローガンだそうです。

私は思います。

200年前のこのスローガンさえ、日本では羨ましいと思わなければならないし、そろそろこの状況を日本社会が目を覚まして、恥じなくてはならないことを。

休息に8時間、つまり睡眠の8時間さえ取れずに働いている人が日本には、どれだけいるのでしょうか…

ちなみに、フィンランドではこれができている人ばかり

例えば、友人は朝の7時に出勤し15時に帰ってくるという日々、または8時から16時という知り合いもいます。

もちろんこれも職種にもよりますが、フィンランドではこういう人が一般的で、まわりの子どものいる家庭もこういうケースがかなり多いです

また、一番驚かれるのは日本の社会人には長期の休暇が少なく、有給も少ないこと。ここの格差もかなり大きい。

夏に4週間の夏休みがあるなんて、北欧ではよくあることなんです。

テレビやメディアで北欧をお手本にしようと言いながら、置かれた仕事環境が違うので、同じ人間でも余裕が全く違うのです。

だから、日本のパパと、北欧のパパを比べるのはもうやめて欲しい

北欧の男性はすごい!

北欧の夫は家事ができる、子育てができる!!

なんて、テレビやニュース番組で、日本人の男性と比べて褒めちぎる前に、北欧に住むお父さんの労働環境や、勤務時間、余裕と休暇の多さ、そして夜には大抵自由な時間があることも、もっと発信して欲しい。

北欧の会社は違法的に社員にサービス残業をさせてたりはしないこと、また個人が強くなって、理不尽な就業時間や、契約に個人が強く主張できることを取り上げてもらいたい。

その前提で、男性も子育てが自然とできる社会が作られているということを。

 

私は、日本のパパ、ママたちにぜひ聞いてみたいです。

もし、毎日、毎日、本当に毎日のように北欧で暮らす人々のように、例えば夕方17時頃に帰宅できたら、何をしたいか。

17時から就寝時間までの毎日の6時間余りを何に使うか。

きっと、子育てや家事、家族、子供との時間に使い、さらにはその中で趣味を伸ばし、友人との交流を増やし、勉強もでき、心の余裕も生まれ、精神的にも解放される暮らしとなるのではないでしょうか。

そうなれば、今現在負担のかかりがちな母親の時間の使い方も変化し、夫との協力で家事や子育てをうまく分担できるようになるかもしれません。

 

私はそういう男性が日本にもきっと多いだろうと心底思うし、

時間があるなら子供と平日にだって遊びたい若いパパがたくさんいることを信じたいです。

 

つまり、日本で一般的になってしまったサービス残業や、日本の長時間労働が当たり前という空気の流れ、働き方を若い世代が未来では変えられる日が来るといいなと思います。

今の状況をすぐに変えられなくても時間をかけて、個人の時間と心の余裕を社会に増やすことで男性が、育児や家事に積極的になれる日が来ることを願いたいです。

あおい
もちろん、時間あるのに毎日グータラして全く何にもしない夫は今日の論点からは論外!そんな世間のパパの肩を持つ気は一切ありません!明日にでも心を入れかえて奥さんを助けて動くべき!!!!